阪神間の中でも、豊かな自然の残る北摂の阪神北地域。三田市、宝塚市、猪名川町、川西市から成る地域の面積の6割が森林、そして、そのうちの9割が里山林です。特に、川西市北部・猪名川町では、現役のクヌギの里山林が残っています。
この一帯では炭焼きの営みが受け継がれており、順番に伐採を繰り返すことで生まれる、昔ながらの特徴的な美しい里山のパッチワーク模様が見られます。その美しさから菊炭とも呼ばれ、茶道などに使われる最高級の炭である一庫炭(ひとくらずみ)・池田炭も、この地域で伝統的に生産されているもので、室町時代まで記録をさかのぼることが出来ます。
加えて、カブトムシやクワガタ、チョウなどの生き物の多様性の豊かさにあふれている北摂地域は、日本一の里山と称される、とても貴重な環境なのです。
ガスや電気が当たり前に使える今より、ちょっと昔は薪炭が全てのエネルギーの源でした。
身近な山へ入り、小枝や雑木を刈り集めて火を焚くのが普通の生活でした。そして、伐ってもすぐに萌芽して成長するクヌギやコナラなどを大切に育て、原料にして炭を焼きました。
それらの落葉樹の落ち葉は、畑の肥料となり、山菜や木の実、きのこや筍などの四季折々の山の恵みもありました。そのような、人にとって最適な山の環境が里山だったのです。
しかし、現代の生活では、人は薪炭を必要とせず、また家屋や日用品などの木材利用もなくなり、人と山の関係は遠のいてしまいました。
手入れが止まった山は、照葉樹が密生し、ツル植物やササ・タケが繁茂し、生息する生物が限られ、人を受け入れない、暗く荒れた山となってしまいます。
紅葉が美しく、生物にあふれ、人を暖かく迎え入れる里山の再生には、山の手入れが必要です。
兵庫県北摂地域では、荒れてしまった森の手入れをして、里山の再生をし、またその取り組みを通じて人の輪をつくる、そんな活動をする森林ボランティアが多く活躍しています。マップ掲載の2件の他にも、ここでいくつかご紹介します。
■ ひとくらクラブ
マップ21に掲載の「一庫公園」の豊かな自然環境を舞台に、子供から大人まで自然と親しみ、楽しく学べる活動をしています。
TEL:072-794-4970
■ 菊炭友の会
菊炭の産地である黒川地区で、菊炭の素晴らしさを守り伝えると共に、市民が憩い、また自然体験学習のできる、豊かな森づくりを進めています。 薪の生産・販売も積極的にされています。
TEL:072-794-8605
URL:http://kikuzumi.exblog.jp
■ 川西里山クラブ
森の再生を通じて、豊かな川西市の自然・歴史・文化を知ってもらいながら、市民と森とが共生していくことを目指して、楽しく活動しています。
TEL:072-740-1164
URL:http://str1685.exblog.jp
薪の利用と聞いて、何を思い浮かべますか。薪ストーブに、薪ボイラー、薪窯…薪を使って出来る事は、たくさんあります。
最も人気で憧れる人も多い薪ストーブ。温めた空気を循環させる「対流熱」と、ものと身体に直接伝わる「輻射熱」で、部屋全体が暖まり身体の芯からポカポカに。パチパチと燃える火のそばに座っていると、気持ちも豊かになります。
また、燃えるストーブの上にポットを置けば、いつでもティータイムが可能!シチューやカレーをコトコト煮込み続けることも出来ます。よく火が通って、とっても美味しくなります。
薪ボイラーは、薪を燃やして温水をつくり、給湯や暖房に利用します。ボイラーは、薪だけでなく、廃棄物となる雑木や紙など何でも燃やしてたっぷりのエネルギーに変える、家庭の力強い味方です。床暖房などは空気を全く汚さない、とても身体に良い暖房です。
薪窯を使って、パンやピザを焼けば、外はパリっと、中はしっとり、もっちり…ガスの火のように水分がなく、近赤外線・遠赤外線の効果を併せ持つ薪の火は、あらゆる食材を特別に美味しく、香ばしく焼き上げてくれます。
薪を日常に取り入れる様々な方法。みなさんに合った利用法をみつけて、是非薪らいふの楽しみを味わってください。
北摂地域には、薪ストーブを使っているお宅が多くあります。宝塚市は、そんな薪らいふ住宅の密集地のひとつ。それぞれのお宅で、どんな薪らいふが営まれているのでしょう?
「暖かさと香りを楽しんでいます。」
武庫山の小西幸雄・悦子夫妻は、大阪でスペイン料理店をされているご主人のこだわりで、2年前に新居を建てる際に薪ストーブを設置。ストーブをつけると家中が暖かく、香りも良いと、満足されています。今はお仕事が忙しく、ゆっくりと過ごせる時間が少ないのが悩みだそうです。薪は知り合いの方から、クヌギ・ナラなどを購入されていますが、「情報がもっとあると助かる」とのこと。ストーブの扱いはアウトドア派のご主人が主に担当されていますが、夜遅く帰宅するご主人を暖かい家で迎えられるよう、奥様もこれから薪ストーブの扱いに慣れるよう頑張っていかれるそうです!
「薪ストーブにはまった」
阪急宝塚南口駅の山手にある安本邸のご主人は薪らいふ歴12年。「薪を燃やすのは楽しいし、家中暖かいし、焼き芋も焼けるし」と、毎日薪ストーブを焚いています。薪は長野県や兵庫県のキャンプセンターで定期的に伐る木を置いてもらい、その場で薪に割って持ち帰っているそうです。
水口邸と加宮邸は、お隣さん同士、薪ストーブ歴数ヶ月。「薪は鳥取県から仕入れたり、近所の山の木をもらっています」とのことです。
他にも、近辺にはいくつも煙突から煙ののぼる素敵なお宅があります。暖かい薪らいふの環は、どんどん広がっているようですね。
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三田市有馬富士共生センター![]() |
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里山を通した都市と農村の交流を進めて地域を元気に!そんな活動の拠点として利用されている施設。ハイキングの帰りに寄られる方が多く、薪の炎が燃えていると自然と人が集まるそう。火のそばでゆっくりと暖まりながら語らうカップルの姿もちらほら…。飲み物や食べ物は持参で、どうぞごゆっくり。
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兵庫県立宝塚西谷の森公園![]() |
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自然に学び、先人達の知恵に学ぶ、広大な里地里山公園です。西谷地区まちづくり協議会を中心に、自然と親しめる様々な取り組みが年中行われています。野鳥観察やクラフト、野外料理やコンサートなど、楽しみがいっぱい!冬になると、園内の薪を使って、東の谷管理棟の薪ストーブに炎が灯ります。
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黒川公民館![]() |
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昭和52年に休校となった黒川小学校は、今は市民の集う社会教育施設です。平成21年より薪ストーブが設置されました。「黒川まちづくり協議会」の事務局があり、森林ボランティア各団体の活動拠点でもあります。裏山には台場クヌギやピザ窯、素晴らしい里山の眺めが楽しめる展望デッキも。エドヒガンの開花や秋の紅葉は見物です。
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一庫(ひとくら)公園![]() |
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一庫ダムの完成によって出来た知明湖周辺の貴重な自然環境を保全する公園です。ボランティアが中心となって、広大な公園内の森林の手入れを行い、採取した木材は炭づくりとチップ(堆肥)として利用。今年3月の薪ストーブ導入に伴い、薪としての利用も始まりました。囲炉裏を使った野草茶など、魅力的な催しの予定も。
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café&gallery うわのそら![]() |
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イタリアンオートバイをこよなく愛するマスター。その人柄もあり、薪ストーブについての地域の情報発信拠点の役割も。田園風景が広がる大きな窓と薪ストーブの温もりに囲まれて、薪ストーブヘビーユーザーのマスターと話し込んでみては?コーヒー、ピザ、カレーと薪ストーブの相性は最高とのこと。
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さくらや![]() |
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旧福知山線廃線ハイキングで知られる、JR武田尾駅近くにある休憩茶屋。武庫川上流の豊かな自然に囲まれた穴場スポット。川のせせらぎ、鳥の声、虫の音、四季折々の自然が楽しめます。山小屋風の店内にレトロなだるまストーブがよくお似合い。一方、夏は涼しい川沿いのテラスでバーベキューも。年中訪れる価値あり。
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カフェガレージアンクル![]() |
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薪ストーブの揺れる炎を見ながら、時が経つのを忘れてゆっくり出来るカフェ。素敵な音楽がより一層の癒しの空間を演出します。薪ストーブを使うようになって、店内のピアノやギターなどの楽器の音が良くなったという、嬉しい予測外の効果も。ライブステージも定期的に開催されています。
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リストランテ・トリトン![]() |
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オーナーは、本場イタリアでは常識の「石窯」の良さをよく知る須藤さん。そんなこだわりの須藤さんの数々の料理が味わえるレストラン。遠赤外線効果や、微妙な火加減が生み出す美味しさは、薪だからこそ。天然酵母や有機野菜など、使われる食材の全てにある気配りは身体にも地球にもやさしい。
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喫茶カフェHANA![]() |
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市街地の喧騒から離れた穴場の喫茶店。薪ストーブで温まりながら味わうコーヒーはまた格別。薪ストーブはお客様との話のきっかけになるそう。「薪を作っていくことでご先祖様が残してくれた里山を手入れしている。自然にふれあう生活を楽しみ、味わうことをモットーに里山と関わっていきたい。」と、ご主人。
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パスカルさんだ | ![]() |
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JA主催の農産物直売所。会員の農家の方々が生産する、米・野菜・三田牛・農産物加工品(乾物や豆腐、漬け物など)を販売しています。現在薪を生産しているのは3家族。秋口や冬場に良く売れ、販売量は年間1,200束もあるとのこと。個人のお客さんの他、キャンプ場の経営者が薪を調達に来ることも。
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鎮台窯(ちんだいがま)![]() |
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三田から焼き物の町「今田町」に向かう道程で、最初に出会う窯元です。ここの窯は、陶芸の原点ともいえる、古式の「あな窯」。一回で220束、年間では1,200束程にもなるマツを、1,300℃で焚いて焼成しています。粘土工作や絵付けが出来る陶芸教室は200名の団体まで対応可能。体験してみてはいかが?
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丹文窯(たんぶんがま)![]() |
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代々続く歴史ある丹波焼の窯元で、現当主の文博さんは3代目。初代の頃は、窯元の数は今の半分以下だったそう。1回で250〜300束もの薪を使用し、年3、4回登り窯で焼いています。ガス窯を使った焼き物より味わいのある作品が作れるとのことです。是非、お気に入りの一品を見つけてみてください。
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丹波焼相野窯(あいのがま)![]() |
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古民家のゲストハウスを併設した、ササユリの咲く郊外の邸宅で作陶にいそしむ陶芸家の石田陶春さん。茶道や子どもの食育など多方面で活躍しておられます。丹波篠山・まちなみアートフェスティバルを始めとした数々の個展や百貨店で出会える作品の数々には、暖かく、爽やかな茶道の心の息づかいが感じられます。
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木器窯(こうづきがま)![]() ![]() |
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「自然からの土・釉薬で形作られた器を、薪という自然のエネルギーで焼き上げる登り窯に生涯情熱を傾けていきたいです。」陶芸家・田中和人さんの焼かれる素敵な作品の数々は、この言葉を良く表しています。薪は、良好なマツ材を窯の燃料に、虫食いのマツ材を工房の暖炉に使用しているとのこと。
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しょう窯![]() ![]() |
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20年前に開かれた窯。オーナー自ら工夫して薪ストーブや作業台なども造られています。焼き目にこだわりがあり、外に登り窯もつくったそう。薪だけでは大変なので、ガスの窯も併用。創作の傍ら、住み着いたネコ達とのんびり楽しく陶芸教室をされており、作品達には、そんな優しい時間がこめられています。
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中上農園![]() |
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軟弱野菜の生産は地域でトップクラス。薪を使った温室栽培の野菜を、三田市近辺のスーパーや大阪の市場まで出荷しており、特に自慢のトマトに力を入れています。冬でも美味しい夏野菜が育つ秘訣は、温室に置かれた薪ストーブ。薪利用のメリットは、火力が強く、コストが安いことだそうです。
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山香園(さんかえん) | ![]() |
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菌床栽培とはひと味ちがう美味しい原木栽培のしいたけを味わうなら、しいたけ狩りを是非。栽培に使う原木は近くの山から採取され、使用後は温室ハウスの燃料となり、薪としても販売されています。「北摂原木しいたけ振興協議会」も設立され、原木しいたけ生産から地域の里山再生が進行中です。
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今西勝さん | ![]() |
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炭を焼き、リヤカーで天王寺まで売りに行っていたという父親の跡を継ぎ、現在市内で唯一の菊炭生産者となった今西さん。長年の経験で微妙な火加減を見極めながら慎重に焼き上げる炭は、本当に美しい。「菊炭は高価なものだけに責任は感じます。」とのお話に菊炭生産者の自信と誇りがにじみます。
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ECOこどもとの空間 | ![]() |
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「心の里山ボランティアとは・出来る人が出来る事からスタート!」をキャッチコピーに、場と空間をつなぐスローライフを目指し、四季や時の移り変わりを体で感じ、ゆったり過ごす暮らしを伝えようと、子ども達とのイベントや里山作り、薪販売も行っています。平成22年7月からは薪ストーブ制作も開始予定。
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北雲雀(きたひばり)きずきの森![]() |
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「自然の連鎖に組み込まれているから生きられる。」荒れた放置林の再生に取り組み、そのことを学ぶ舞台がこの「きずきの森」です。確固たる理念のもと、地域の有志の手で育まれる森林は、人と自然の出会いの場として自由に散策が可能です。ボランティアや教育目的にのみ利用出来るかまどや石窯も作られています。
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花山乃湯(はなやまのゆ) | ![]() |
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温泉の湯を温めているのは、建設廃材を原料とする木質チップを燃やすボイラー。廃材の薪としてのエネルギー利用は、里山保全・利用とはまた別の、重要な循環型社会へ向けての取り組み。花山乃湯のボイラーは燃焼効率がよく、有害物質も出さない新開発のもの。エコな温泉で、ゆったりすっきり、リフレッシュ!
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関西学院千刈(せんがり)キャンプ | ![]() |
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北摂三田の標高250mの自然豊かな高台に昭和30年に開設された、里山の真っ只中にあるキャンプセンター。共に感じ、学びあう「共育」のステージとして、多彩な利用がされています。ここで薪となるのは業者さんが冬に手入れをするアカマツ。学生の野外活動、子供達のキャンプ体験等に使われています。宿泊は学外の方も可能です。
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三田グリーンネット![]() |
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愛情あふれる個人のお庭を、訪れる人に楽しんでもらうオープンガーデンの輪を広げ、花と緑のあふれるまちづくりに取り組む「三田グリーンネット」。見事に花が咲き誇る、高嶋さんのお宅でも、薪ストーブが暮らしを彩っています。焼き芋やシチューなど、薪ストーブで料理にも挑戦されているようです。
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(株)平尾工務店 無垢の家「木心(きごころ)」 | ![]() |
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無垢の自然素材を生かした家作りをする工務店。販売した家の多くに薪ストーブを入れて、暖まった空気の流れを考えた家の設計がなされています。目指す家作りは「住まれた方がホッとする、癒される家」。安い薪の入手情報も教えてもらえます。コストパフォーマンスの高いエコライフを始めるチャンスかも!
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梶屋庵(かじやいおり)![]() |
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薪ストーブや囲炉裏のある古民家で営まれる、月に一日だけ開店する限定ショップ。夫婦で庭造り業を営みながら、自分達の快適な田舎暮らしを提案されています。こだわりの手作り石けんを、一度お試しあれ!アロマ化粧水の体験講習やアロママッサージなどの催しも。ツリーハウスでいただけるランチも、格別です。
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今村建具店 | ![]() |
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伝統工法による、こだわりの日本家屋の建具を造っている今村喜吉さん。お店は60年以上続いています。建具を造った後の廃材は、五右衛門風呂でないと温もれないという方が取りに来られているそうです。近くの伊和志津神社の祭での甘酒作りの燃料や、宝塚聖天寺の護摩木に使われている薪も提供されているそう。
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お寺でも薪らいふ?護摩木(ごまぎ)焚き | ![]() |
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