導入したくなったら
■導入手順
導入施設が決定した後には、以下の手順で導入を行います。あくまでも基本的なものであり、順序が逆転する場合もあります。また、1〜4はすべてが関連しているので、同時進行又はフィードバックを掛けながら進める必要があります。
1:ペレットの調達の見通し確認(価格、量)
ペレット工場が近くにあり、安定的な供給と適切な価格で供給されることが前提になります。
2:熱需要の把握、規模の決定(ボイラー診断)
過去1年間の化石燃料消費量と時間帯別、季節別、曜日別など利用熱量の変動要因の熱負荷の確認により、熱需要パターンを把握します。
化石燃料消費量が少ない場合や、熱負荷に大きな変動があると経済性が悪くなりペレットボイラーが適さないケースも出てきます。基本はペレットボイラーでベース需要を賄い、既存の化石燃料ボイラーをバックアップとして活用しピーク需要に追従する使い方を前提に、最も経済性が良いボイラー規模を算出します。また、設置スペースと燃料の搬入経路が確保できることを確認しておきます。
3:概算費用算出、補助金の検討
2で求めたボイラー規模をもとに、過去の導入事例などを参考にして概算の事業費とランニングコストを算出します。また、その時点で利用可能な助成制度を検索し、助成率を反映して計算を実施します。
4:関連法規の把握
ボイラーの方式や規模に応じて届出や有資格者が必要になる場合があるので漏れがないように確認しておく必要があります。ばい煙の測定や有資格者の養成又は雇用など、ランニングコストに影響する項目があります。
5:基本設計及び見積依頼
1~4の結果を整理し基本設計仕様としてまとめます。最適なシステム形態の選定、具体的な設備内容・基本図面の作成、関連法規の整理、燃料調達計画、事業費算出、事業性の検証等、事業全体を最適化しデザインします。一番重要な工程で、ここで事業の成否が決まってしまうと言っても過言ではありません。本内容をもとに見積依頼を作成します。
6:メーカー選定
仕様に合うラインナップを持っているメーカー(複数が望ましい)に見積依頼し、見積もり内容や提案仕様を比較検討の上メーカーを決定します。場合によっては実施設計後にメーカー選定を行うケースもあります。公共施設の場合は、入札やプロポーサルで選定するケースがあり、状況に応じた手段と手順で進める必要があります。
7:実施設計
基本設計をもとに建築設計や構造設計、電気設備設計を実施します。工事費内訳明細書や工事費明細書、施工図のもとになる設備設計図書を作成します。
8:設置工事
設計図書に基づき設置工事を発注し着工を開始します。より良質な工事をするためには品質及び工程、原価や工期管理をする施工監理が重要です。不測のトラブルや変更に対する対応なども発生します。
9:完成検査、試運転
試運転によりペレットボイラーの性能試験を実施します。施工されたボイラー設備が設計された要求仕様を満たしているか確認するためのもので、経済性のみでなく安全性にもかかわる重要な工程です。本稼働後のメーカーや施工業者とのトラブルを回避する上でも、この時点で問題の摘出と対策を実施しておく必要があります。完成図書内容や各種検査の結果を踏まえ問題がない場合は、検収し完成とします。助成金実績報告書を作成して、助成金の支払い請求手続きを行います。
10:本格稼働
導入したペレットボイラーのシステムが連続運転の状態で、正常にかつ設計通りに稼働しているかを早期に検証する必要があります。
連続運転では試運転の性能検査では発見できなかった問題や、周囲環境(温度条件など)により影響が出る場合もあります。そのためには燃料消費量や出力状況、アラーム発報や灰処理時の状態や量などできる限り詳細に記録をし、異常を検出、早期に対策することが重要です。また、始業点検やメンテナンスの実施が必要ですので、事前に点検票などを整備しておくことをお薦めします。
11:定期保守点検
ペレットボイラーの整備は、機器メーカーか設備工事を行った会社による整備が一般的です。保守費用は導入した機器メーカーや種類、契約方法などによって異なるため、事前に確認します。