薪炭の火は、輻射と対流によって熱を伝え、部屋を暖めます。輻射とは太陽の暖かさと同じ作用で、薪炭が発する赤外線が人の体や部屋の壁、床、天井などに直接当たって温めるので、室温がそれほど高くなくても暖かさを感じることができます。この輻射の作用と同時に、熱によって暖められた空気が上昇し、そこに流れ込んだ冷たい空気が暖められてまた上昇し、という空気の流れが発生し、室内に暖かい空気が行き渡るようになります。これが対流です。 薪炭の輻射熱による暖房効果をあげるために、もうひとつの大切な要素があります。石やレンガ、コンクリートなど、温まりにくいが冷めにくい物質に熱を蓄える、蓄熱です。輻射によって温められた部屋の床や壁、天井などが全体に蓄熱することによって、部屋全体の温度の差が少なくなり、安定した暖かさを得ることができます。 強制的に室内の空気を対流させるエアコンやファンヒーターと比較すると、薪炭による暖房は素早く部屋を暖房することはできません。そのかわり、じっくりと燃やし続けることによって、常に熱を発生し、穏やかに暖め続けることができるのが特徴です。
●環境負荷が少ない薪炭の火