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薪炭利用キャンペーン
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本ページは、(独)環境再生保全機 地球環境基金の助成を受けて作成しました

薪について知る
火の発見により人類は進化の歩みを早めたとされていますが、そのときから燃やす材料として薪は重要だったと考えられます。暖を取り、食材を調理し、沸かした湯で風呂に入るといった日々の暮らしに不可欠の行為は、すべて薪が基本となっていました。高度経済成長の後に使い勝手がよくないことなどの理由で薪は次第に使われなくなりましたが、最近再び注目を浴びています。ここからは薪についての情報を紹介していきます。
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日本の薪、外国の薪
 木炭と比べて薪は比重が大きいためにかつてはあまり遠くまで運ばれることはなく、地産地消に近いかたちで生産・利用されてきました。例えば、集落近くの農用林(農業用の林)や里山(里に近い山)では、上木の幹を薪や炭、下草を家畜の飼料や敷料、落ち葉を苗床の温熱材料などとして「まるごと」使っていました。これらの資源を採りすぎないように注意すれば、農業生産や日常生活には困らなかったわけです。  

 日本では1935年から2003年までの生産量をみると、戦前のピークだった1940年の2,969万層積m3を100とすると、戦後は1960年代以降に急速に減ったおかげで2003年にはわずか0.3になってしまいました。
 世界全体とみると、住宅用などよりも燃料用の木材の消費量の方が多いことが国連食糧農業機関(FAO)の統計で示されています。特に、ネパールのように途上国のなかでも寒いところでは燃料用の薪の採りすぎで森林の消失が起こっています。ちなみに、FAOの統計によると、日本は2005年の時点で木材生産量に占める燃材の比率は世界最小の0.7%にすぎません。       
 
             
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薪に向いた木
 
 燃やすだけならどんな種類の木でも変わらないという思う人がいるかもしれません。 同じ薪でも木の種類によって性質に違いがあります。例えば、火持ち(薪に火がついている時間の長さ)は針葉樹よりも広葉樹の方がいいとされています。 針葉樹の方が比重が軽いために早く燃え尽きてしまうからです。一般的に薪に向いているとされるのは、 ナラ類(落葉樹)やカシ類(常緑樹)といったブナ科の木です。

 写真左は大阪府交野市近郊の山林の様子です。 今となっては家の裏は人工林(針葉樹)や竹林となっていますが、かつては薪用の林(主に広葉樹)だったはずです。 写真右のように軒先にきれいに積まれた薪は次第に見られなくなってきています。 

   
  都市近郊の山林(大阪府交野市,2004年12月)     軒先に積まれた薪(京都市左京区,2006年11月)
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薪を使った料理
 
 「薪炭を楽しむ」というページにも書いてありますが、薪は様々な料理で使われてきた歴史があります。 だからといって最初から複雑な料理にトライする必要はありません。まずは「飯ごう炊さん」がお手軽です。 小中学校の頃に一度は飯ごうでご飯を炊いた経験があるのではないでしょうか。もしかするとガスコンロを使って炊いたかもしれませんが、 薪でもそんなに難しくありません。

 他にもバーベキューのように網を使った焼き物なら手軽にチャレンジしても大丈夫です。 アメリカの国立公園のキャンプ場には薪で料理する独特の「窯」がどのサイトにも設置されています(写真)。日本でもこんな仕掛けがあったらいいですね。 ちなみに、薪で火をおこす手順や薪ピザ・パンのレシピは参考にあげた『薪割り礼賛』に書いてあります。

   
   薪が使える「窯」                                              チャーハンをつくる
  (アメリカ・ネバダ州グレートベースン国立公園,2006年7月)
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薪の魅力
 
 木炭に火を付けても赤々と燃えるのですが、薪は「炎が見える」ことが特徴です (炎が出るようなら品質の良くない炭の証拠)。古くから拝火教と呼ばれる信仰があるように、炎は人を惹きつける不思議な魅力があります。 京都なら鞍馬の火祭や五山の送り火といったように、土着の神事も「炎」の持つ力が大きく影響していると思います。 キャンプファイアーほど大がかりでなくても、たき火でも十分にほっこりした気分になれます。 ちょっとぜいたくかもしれませんが、家に備え付けの薪ストーブがあれば本当に豊かな気持ちを味わうことができます。 家の外に薪が積み上げられた風景が少しでも増えることを心から願っています。

   
 薪ストーブ(京都市左京区,2006年11月)             新築の家で薪を積む(京都市北区,2005年7月)
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参考文献
深澤光『薪割り礼賛』創森社
深澤光『薪のある暮らし方』創森社
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