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本ページは、(独)環境再生保全機 地球環境基金の助成を受けて作成しました
地域の森林から生まれる薪炭を使おう!
〜薪炭等バイオマスの地産地消の実現に向けて〜
薪炭の地消地消とは(地域内融通とは)

近年、炭火の焼き鳥店や薪窯のピッツァ店など、薪炭を使用する飲食店が増えていることにお気づきの方も多いだろう。また、個人住宅においても、灯油価格の高騰やロハスブーム等を背景に薪ストーブを購入する人も増えていると言われている。

では、そこで使われている薪や炭はどこから来ているのだろうか。 身近なところに森林があるわけなので、そこで作られた薪炭を使っているのだろうか。いわゆる「地産地消」が成り立っているのだろうか。

正確な統計データはないが、私たちが東京都内の店舗にヒアリングした限りでは、炭火焼き鳥店多くは中国や東南アジアを始めとする海外からの輸入木炭を、薪窯のピッツァ店の多くは、国内のものではあるものの、長野県や岐阜県など遠くから運んできた薪を使っていることがわかった。薪炭の地産地消は、なかなかに難しいようである。

しかし、一方で、薪ストーブユーザーが薪割りクラブをつくり薪の調達を共同で行ったり、市民の炭焼き団体が焼いた炭を希望者に配布したりと、地域の森林から生産した薪炭を地域で使おうとする取り組みが各地で始まっていることは注目に値する。

これらの取組で面白いのは、いわゆる「売る/買う」といった市場取引だけでなく、「あげる/もらう」「(みんなで)集める・つくる」といった形態で、薪炭の地産地消を(量的にはわずかではあるにしろ)実現しつつあることである。(下図参照)

薪炭キャンペーンでは、この「売る/買う」だけでなく、「あげる/もらう」「(みんなで)集める・つくる」といった多様な形態を視野に入れて、薪炭の地産地消を促進していきたいと考えている。

なお、2008年から、東京都を中心とする関東地方をモデル地域に選定し、薪炭の地産地消の実現方策について、検討を進める。

薪炭の地消地消の取り組み(国内外の取組事例)

FAOの「林産物年報(Yearbook of Forest Products1994)」によると,1994年の世界の木材生産量は,34億4千万m3となっている。このうち、薪炭用材が18億9千万m3、産業用材が15億5千万m3となっており、世界の木材生産量の55%が燃料として生産されている。特に、開発途上地域では、薪炭用材が全生産量の80%を占めており、薪炭用材が生活エネルギーとして重要な位置を占めていることがわかる。

炭は世界中に存在し、その土地に適した製法で焼かれている。世界の木炭生産量の半分はアフリカである(炭窯での生産ではないが)。ブラジルでは製鉄用に大量に木炭が焼かれ使われている。炭材としてはユーカリ、マングローブ、ラバン、パインなどがある。
中でも日本の炭、特に「茶の湯炭」と「備長炭」は世界の木炭の中でも最高傑作品として賞賛されている。
また、ラテン系諸国には木炭愛好国が多いが、使用量はそれほど多くなく、料理用が主である。
先進国では、工業用の用途やバーベキューなどレジャー用の利用が多く、後進国では、森林を伐採して炭材として利用しているところが多く、ほとんどが家庭用燃料に使われている。特に、石油資源を持たない国の木炭需要は多くなっており、重要な問題となっている。

以下に、地域別の炭焼きの状況を記す。

アジアの薪炭利用
アジアには、炭窯方式と、欧米方式の2種類の生産方法があり、中国、朝鮮、日本などでは炭窯方式による炭焼きが行われ、シベリアや東南アジアでは、欧米方式の炭焼きが行われている。

中国の薪炭利用
中国では、日本でようやく炭が使われ始めた弥生時代には、炭の大量生産が行われていた。
黄河文明は、さまざまな金属器具を作り出したが、これには木炭が大いに関係しており、この時代には炭窯の技術は完成していたと考えられる。
現在は、以下のような用途に炭が使われている。

【写真】(1) 燃料用
炎がなく、近赤外線で焦がさずに中まで焼くので、焼き魚、バーベキュー、ステーキ等に利用されている。


【写真】(2) 美容・健康用
肌の艶も良くなり、美肌づくりにも良いため、中国市場で人気商品として愛用されている。


【写真】(3) 寝具用
保温効果が高く、入浴後も身体のぬくもりが長時間続き、血行も良くなり筋肉もほぐれ、疲労回復に効果的である。


【写真】(4) 水処理用
水処理用木炭は、河川、湖沼、池、その他(家庭用排水、魚介類の養殖場、農畜産業排水、産業排水など)を浄化する素材として使用されている。


【写真】(5) 消臭用、吸湿用、空気清浄材
脱臭効果を利用して、冷蔵庫、トイレ、ペットやたばこの脱臭、押入や下駄箱の吸湿に使える。


東南アジアの薪炭利用
東南アジアでは、生活燃料として料理に使う木炭が多く生産されているが、日本の木炭のような品質のよいものではない。しかし、いぶりがある木炭は、炎が出るため、料理用の燃料としては好まれる。
また、樹木の枝を切り落とし、葉を羊に食べさせた上で、薪として利用する方法も行われている。こういった方式は、枝落とし方式と呼ばれ、かつては、ヨーロッパで行われていた。

インド・中近東の薪炭利用
この地域では、主に薪が生活燃料となっているが、炭も一部使われている。
この地方の炭窯は、日本のものとは違い、アフリカ文化につながる型のものである。

アラブ・アフリカの薪炭利用
アラブ各国も、かつては炭焼きを行っていた。エジプトのミイラの防腐には、木タールが使われていた。森林の少なかった古代エジプトやメソポタミアでは、木炭は貴重な資源であり、金属の精錬に使われていた。
現在は、これらの国々で木炭生産が行われ、家庭用燃料として利用されている。この地方は、伏せ焼きが多い。
燃料林は、いたるところに見られ、萌芽林の形態をしている。イギリス植民地時代に導入されたユーカリが多く、薪や炭として使われるほか、建築用資材としても利用されている。

ヨーロッパの薪炭利用
ヨーロッパは、北欧系と南欧系の炭質に差がある。北欧系は、針葉樹炭が多く、製鉄用に利用している。南欧系は、広葉樹炭が多く、家庭用に利用している。
ヨーロッパでは、工業用木炭製造のための大型炭化炉が研究され、実用化されている。
また、イタリアでは、全てのピザ店で薪を使っている。
他、ヨーロッパ各国では、薪や炭を利用するだけでなく、チップを燃料にし、地域で熱供給を行っている例が見られる。

北米の薪炭利用
アメリカでは、バーベキューやレストランに使う木炭が最も多く、次いで工業用の木炭となっている。また、たばこ乾燥、家畜飼料、浄水などにも使われている。

中南米の薪炭利用
スペイン系ラテン人種の国は、焼肉料理を好み、燃料に木炭を利用している。特にアルゼンチンは、バーベキューの本場で、木炭の生産量が多い。また、エクアドルでは、海岸沿いのマングローブを伐採し、ヨーロッパ型の炭焼きを行っている。
また、標高の高い場所には、松の燃料林も見られる。

オーストラリアの薪炭利用
オーストラリアでは、ユーカリ木炭が多いが、炭の生産量としては多くない。

南洋群島の薪炭利用
南洋群島では、戦時中の日本軍の占領により、炭焼きが行われていたところが多く、マングローブの炭を焼いていた。

[出典]
株式会社M-easy http://www.m-easy.co.jp/05/state.html
中国竹炭ネット http://www.china-charcoal.com/
株式会社増田屋 http://www.masudaya.co.jp/sumi_world.html
「炭」岸本定吉著
「焚き火大全」吉長成恭、関根秀樹、中川重年編