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木質バイオマス・マイクロコージェネレーションによる足湯 |
万博記念公園(大阪府吹田市)では、園内の森から出てくる間伐材や剪定枝などを燃料として活用して、お湯と電気を同時に作り出す小規模分散型システムの実証試験を行っています。
万博記念公園の管理区域220haには、樹木の植栽面積が約124haあり、間伐材などの木質バイオマスが年間100t以上発生しています。それらは、主としてパルプ用材、チップによるマルチング材、堆肥などに利用されていますが、そのうち20t/年程度が木質燃料として利用できると予想されます。 |
公園内での実証試験風景 |
間伐材の活用
システム構成
薪ボイラーとスターリングエンジンを組み合わせて、小型のコージェネレーションシステムを構成しています。また、整流器、インバータ、蓄電池、貯湯槽、配管部も加えています。 |
計画では、8時間/日、250日/年稼動させると、木質バイオマスが、60kg/日(年間約15トン)処理される計算となります。
そして、熱が28GJ/年、電力が1.6千kWh/年発生しますが、これを原油でまかなおうとすると、4.61kL/年が必要となり、二酸化炭素の排出量は年間で約8tになります。 |
システムの概要 |
ガス化ボイラー
実験に使用している木質ボイラーは、ドイツHELT社製のガシファイアです。炉内は、本体上部の一次燃焼室(ガス化室)と下部の二次燃焼室に分かれています。一次燃焼室で薪を燃やして発生したガスは、二次燃焼室へと移動して再度燃やされ、二次燃焼室の温度は800度以上になります。 |
一次燃焼室の容積は大きく、一度薪をくべておけば5時間以上稼働させておくことができます。
燃焼室全体がボイラー循環水で覆われる構造で、熱交換後の排ガスは、二次燃焼室の最後部から煙管を通って約200℃で排出され、ボイラー効率は約85%という高い値になります。ほぼ完全に燃焼するため、煙突から出る排気は、ほぼ無煙です。 |
木質バイオマスコジェネシステムの仕様 |
燃料消費量 |
21kW |
熱出力(ボイラ本体) |
14kW |
熱出力(エンジン排熱) |
4kW |
熱出力(計) |
18kW |
発電出力 |
0.8kW |
発電効率 |
3.8% |
総合効率 |
89.5% |
インバータ出力 |
1500Wm(230Vac/50Hz) |
バッテリ |
12V、220Ah×4 |
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スターリングエンジンBM-1000
EPAS社(ドイツ)製で、エンジン形式はγ型です。全体がコンパクトに設計されており、軸出力は最高で1kW程度になり、電力変換後には800W程度の定格出力を得ることができます。
作動媒体は窒素で、充填圧はゲージ圧0.65MPaになります。冷却は水冷方式で行い、クランクケース内はオイルフリーです。 |
シリーズHERLT HV -14の概要 |
標準熱容量 |
14kW |
出力 |
13-18kW |
許容作動過剰圧力 |
3bar |
ボイラー重量(水無し) |
780kg |
木材片の長さ最大値 |
55cm |
投入室面積 |
300L |
サイズ(たて幅×横幅×奥行) |
180cm×107cm×160cm |
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スターリングエンジンBM-1000
人気の足湯
ボイラーに隣接した和の雰囲気を持つ足湯では、外の景色を眺めながら薪ボイラーで温めたお湯に足をつけ、休憩することができます。木質エネルギーの説明も書かれており、訪れる人に木質エネルギーへの理解を広める働きもしています。休日は長蛇の列ができるほどの人気ぶりです。 |
足湯に並ぶ人たち |
市民が憩う足湯 |
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2007年度利用者数(人) |
4月 |
1,089 |
5月 |
1,450 |
9月 (1日間) |
141 |
10月 |
3,404 |
11月 |
2,917 |
12月 (2日間) |
151 |
1月 |
1,319 |
2月 |
2,480 |
3月 |
2,470 |
合計 |
15,421 |
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