調査メンバー:倉田、山本、舞鶴、横山
報告者:横山・倉田
1月22日に京極湯で実際に薪を使っているところを見せていただけるということで調査に行きました。すぐ脇にある風呂釜のあたりには木材の山がいくつもありました。薪は山科の工務店から無料でもらっているということで、その工務店さんとは長い付き合いで電話したらすぐもって来てもらえるそうです。もって来てもらった薪は近くの駐車場を2台分借りてそこに積んであります。そこで、風呂釜に入りやすいように小さくチェーンソーで切ります。チェーンソーの音が響いたり、風が強いときはそのときにでる挽き粉が舞い散ったりして、ご近所の方に迷惑をかけているという話でした。風呂釜に入れる薪は煙ができるだけ少なくなるように、ベニヤ、竹、塗装されたもの、細かいものは焚かないで、太い柱や梁(ごろんぼという)を焚いているそうです。
銭湯の燃料は時代と共に変わっていっています。戦後、薪がなく、石炭や挽き粉を焚いていましたが、だんだん油の方が安くなり、重油を焚くところが多くなりました。そして、オイルショック以来、一部の銭湯は薪に戻しましたが、現在はまた重油が主力です。
京極湯の風呂釜は重油と薪を併用可能な釜なのですが、重油を使おうと思った事はないそうです。それは、今は重油より薪が安価ということもあるのですが、健康を考えると薪を使いたいと思うそうです。風呂釜は重油だと確かに楽で、ほぼ何もする事がないそうです。銭湯運営者はだんだんと高齢になり、薪はしんどくて出来ないという声が現在は主流ですが、その一方、薪を使用している銭湯への電話調査では、京極湯さんのように元気な意見を持った方々も多くいました。
京極湯さんでは、昔は風呂掃除など銭湯の仕事もたくさんありましたが、今は銭湯の設備が向上し、お客さんがマナーを守りながら自由にお風呂に入っているので、番台に一人、風呂釜に一人でお店をやっているそうです。京極湯の開店は14時半で12時から2時間半かけて風呂を焚き、24時まで営業しています。薪で風呂を焚いている事を知っている人は、薪の使用に良いイメージをもっていますが、多くのお客さんは知らずに入っているようです。
京極湯さん、取材のご協力ありがとうございました。
調査終了後、実際に薪で焚いたお風呂に入ってきました。やはり、重油とのお湯の違いをすぐには見?極めることはできませんでしたが、風呂釜で薪を焚いている様子を思い浮かべながら入ってみるととても気持ち良く感じ、すごく体が温まりました。また、入りに来ている人は、近所の常連さんらしく、和やかな雰囲気でした。中には薪で焚いているから温まるんだよと言っている人もいました。
銭湯利用者は年々減少していて、銭湯の数は京都市内で年約10軒のペースで減少しています。風呂釜の耐用年数が10〜15年でその交換に多くの費用がかかったり、後継者がいなかったりということも銭湯の数が減少している原因です。銭湯の値段もそういった背景で上昇していますが、ここ3年は厳しいながらも値段を上げずにがんばっているそうです。みなさん、是非たまには広いお風呂にゆったりとつかってリラックスタイムを過ごしましょう。