あずま ひろみ(薪く炭くKYOTO
窯焼きピッツァを出してくれるイタリアンレストラン・「トラットリア カサグランデ」は、森の中に建っていそうな、かわいらしい店がまえでした。「外からは、煙突とか見えないねー」という成田さんの言葉に、「バイオマスグルメ調査」らしさを感じながら、扉をくぐります。
木の多いきれいな内装で、みんな入るなり、「窯はどこ?」とキョロキョロ。親切な店長さんが「ご自由に見学して下さい」と、小さな中庭のような場所に通じる扉を開けてくれました。扉の外は薪の束が積み上げられていて、そのまま厨房の奥にもつながっています。使い込まれた窯は石とレンガで出来ていて、手作りらしいかわいらしい造形でした。すぐ横で、お兄さんがピッツァ生地を上空に放り投げて成形していました。慣れたてつきが恰好いいです。
「窯焼きピッツァは高温で焼くから、1、2分で焼けるんだよ」という寺尾さんの言葉通り、すぐにピッツァが運ばれて来ました。進め始めたインタビューをひとまず後にして、焼きたてのピッツァをいただきます。薄くてさくさくした生地の中に、ふわふわもちもちした生地が包まれているような感じ。注文したのは野菜、マルゲリータ、カニとゴルゴンゾーラチーズ の3枚。どれも、本当に、すごく、おいしかったです。
9年前、周りにまだ何もなかった頃に、窯だけをぽつんと作ったところからお店が始まったそうです。薪は知人のおじいさんが卸しに来てくれるとか。薪を使う理由は、「おいしいから・煙の香りが違う」。ガスオーブンと薪窯とは、全然違うそうです。
けれど窯を作るのも、9年間それを使い続けるのも、軽い気持ちで出来ることではなさそうでした。
持続して使い続けるには、毎日手間がかかるけど、「自然の火を見ていると心が和む」「窯を使いこなすと愛着が湧く」「喜んで来てくれるお客さんも多い」 と、店長さんは熱心に語ってくれました。こういう熱い心意気の人に出会えて、おいしいものも食べられるとは…。今回初めて参加した「バイオマスグルメ調査」でしたが、これはなかなか、クセになってしまいそうです。