2005年12月17日
都市再生機構が鹿背山で里山再生を行っている里山元気プロジェクトの座談会に出席し、理想の森プロジェクトの紹介を行ってきました。
午前中は鹿背山を案内していただきました。 鹿背山の第一印象は竹林が多いといういうことでした。 しかし、実際、鹿背山の中に入るとさまざまな植生があることが分かります。 まず、案内されたのは拠点となる倉庫などがある場所です。 各種農作業道具や山仕事道具などの他には釜や石臼がありました。 ここでとれた米やもち米を食べるためだそうです。 将来的には、ここに泊まることのできる小屋を建てるそうです。
それから里山オーナーズクラブといって斜面と平らな土地を含んだ区画(0.1ha)を年に一定金額で貸し出し、自由に使っていいという取り組みを行っている場所を見に行きました。 募集すると大勢の人が集まり、抽選になるほど人気だそうです。 土地は、それぞれ現在の植生や斜面の角度、向きに違いがあり、自分の思い通りの土地を手に入れることはなかなかできないようですが、オーナーのみなさんは工夫をして里山作りに精を出しています。 スギヒノキといった人工林がすでにある土地やクヌギコナラなどの植生がある土地など様々です。 まだ手を入れていない土地には常緑樹の森もあります。
最初にオーナー募集を行った竹林がメインの地域では、畑でさまざまな野菜が作られていたり、小川が竹で作ったベンチや階段などで整備されていたり、竹林自体も密度が減らされ美しい状態になっていたりとすっかり里山の風景になっていました。 竹炭窯を作り始めた人や作業の休 憩所を作った人などさまざまな方法で楽しんでいるようでした。
鹿背山は木津(木の港という意、木材の供給地)にあり、戦国武将松永弾上の山城があったり、日本における現代エコロジーの先駆者と呼ばれる熊沢蕃山が住んでいたり、柿や瓦作りが有名だったりと歴史深い土地柄です。 宅地開発される予定だった鹿背山地域を鹿背山倶楽部やオーナーのみなさんと地域の人々の協力で世界一の里山のメッカとすることがこの里山元気プロジェクトの目標だそうで、里山管理に感心を持つ、企業・行政・大学・NPOなどと連携した大きな構想を抱いていらっしゃいます。 また、森林セラピー基地の候補としてもあがっています。 薪く炭くも竹林のバイオマス利用など今までにあまり取り組んでこなかった分野のフィールドとして活用することも検討しながら、このプロジェクトに関わっていければと思いました。
午後からは、薪く炭くの活動、特に理想の森プロジェクトの活動を紹介させていただきました。 鹿背山に比べれば小さな規模のプロジェクトですが、同じ里山活動を行う団体として共通点が多々あり、「うちもそうだ」と納得するところや「こんなこともできるのか」など少しは参考にしていただけたのではないでしょうか。 鹿背山は若い人が少ないことも課題だそうで、薪く炭くの活動の様子が役に立てば幸いです。
その後の懇親会にも参加させていただき、みなさんの里山活動を始めた経緯やこれからの夢などをお聞きし、私もこれからの活動の活力や方向性を考えるきっかけを得ることができました。 お互いのさらなる活動の発展を願います。