森林バイオマスの普及啓発と利用促進を目指して、2002年の6月より活動を開始 した薪く炭くKYOTO(しんくたんくきょうと)では、『新たな集材方法の試み-竹シュラ&人工シュラ-』をテーマに第10回の勉強会を開催致します。
今回の勉強会では、薪く炭く会員でもある薗田登氏と楢崎達也氏にお話をしていただきます。薗田氏は竹製のシュラを考案され、京都府八木町のご自分の山に設置されています。楢崎氏は生コンクリートを流すトイ(シューター、FRP素材)をシュラに転用することを考案され、各地の市民団体で集材実験をされています。今回はこのお二方に話題提供していただき、森林バイオマス普及のネックにもなっている集材のコストや労働力の低減の可能性について話し合いたいと思います。
多くの皆さまのご参加をお待ちしております。
本日第10回森林バイオマスについて考える勉強会が行われました。参加者は11名ほどでした。 講師に薪く炭く会員の薗田登さんと楢崎達也さんを迎えて”新たな集材方法の試み-竹シュラ&人工シュラ-”と題し講演をしていただきました。
シュラというのは山から間伐材や薪炭用の雑木を集材するために用いる道具で、雨どいのような形状をしています。流しそうめんに例えるとそうめんが材で竹のレールがシュラです。要するに傾斜をつけた溝の中を材が滑り降りていくということです。
*昔から日本各地で行われていた修羅(シュラ)による集材法は今回説明されたものとは少し異なります。
前半は園田さんに竹シュラについて、ご自身の山に竹シュラを設置し実験したことに基づく結果と考察を、シュラ集材の歴史を交えながら話していただきました。ご自身の山の活用されていない竹林の竹を利用することにより設置費用も安く済み、自然材料であるため環境への負荷も少ないとのことでした。ある程度傾斜の急なところでは竹シュラを用い、ふもとに近い傾斜の緩いところでは木馬を用いるなどいたるところに創意工夫をしておられました。
後半の楢崎さんの人工シュラを用いた集材法の、竹シュラを用いた園田さんのケースとの大きな違いは、シュラがある地点に固定されておらず持ち運びが可能なことだと思いました。人ひとりで十分持ち運べる大きさの人工シュラを自在につなぎ合わせることでより使い勝手が良く様々な地形に対応させることができるようになります。竹シュラのような固定型のものと組み合わせて使用することでより大きな成果をあげることができるようです。近畿各地で実験を行っておられ、その結果人力のみで集材を行うよりもはるかに効率がよく、体への負担も少ないとのことでした。個人や市民参加型ボランティアなどで集材を行う場合に、作業規模や安全性などの面で適しているということです。
シュラによる集材では間伐材や薪炭材用の雑木などそれほど太くないものしか集材できず林業問題を根本から解決する、というものではありませんが、このような未利用材を簡単に手に入れることができるようになれば今後バイオマスエネルギーを利用していくことを考えていく上で、シュラはとても大きな役割を果たしてくれるのではないかと感じました。
(渕上)