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(株) 相愛 (高知県安芸郡芸西村)

日程

 2008年11月24日(月)

内容

 木質ペレット焚ヒーティングバーナー 「木燃」

報告

ペレット焚ヒーティングバーナー

↑ペレット焚ヒーティングバーナー

熱交換器(奥)とサイロとバーナーをつなぐ管

↑熱交換器(奥)とサイロと
バーナーをつなぐ管

 高知県芸西村は、温室が並びナスやピーマンなどの園芸野菜のほか、南国ならではのフルーツ、パイナップルやメロンも栽培されている村である。この村の5軒の農家・7棟の温室で、相愛が開発したペレットバーナーを導入している。その中の一つの温室で、相愛の方と農家の方の話を聞いた。ちなみに相愛は本社が高知市にある建設コンサルタント会社である。

 この農家ではピーマン栽培をしており、重油を燃料としていたが、この2、3年以内にペレットに切り替えた。このペレットヒーティングシステムの仕組みは、まずサイロ(5m3;重油換算1.5kl)にペレットを入れておき、バネコンベアーがサイロからペレットバーナーへペレットを供給し、バーナーでペレットを完全燃焼させ、熱交換器から温風を温室全体に行き渡らせる仕組みである。熱交換器は従来の重油用のものが使えるので、新たに購入しなくてもよい。一定の温度(19℃)を下回ったら自動的にバーナーのON・OFFが切り替わるようになっている。


システム構成図


 ペレットバーナーの出力は91〜149kW(78,000〜128,000kcal/h)で、1時間あたりペレットを17.4〜28.5kg使用する。このバーナーにより10a〜20a程度の温室を温めることが可能である。ちなみに今回見学した温室は29.7aだったが、特に困っているという話は聞かなかった。どの程度の広さまで対応できるかは温室のある場所や、温室で育てるものなどによって当然変わってくるだろう。

温室内のピーマン畑

↑温室内のピーマン畑

温風を送る半透明の管(写真左上)

↑温風を送る半透明の管
(写真左上)

ペレットを燃やした灰

↑ペレットを燃やした灰

 従来型の熱交換器には灰を処理する機能が付いていないので、ペレットを完全燃焼させる必要がある。樹皮を含むバークペレットでは含水量や灰の量が一定ではないので、良質のホワイトペレットを求めて、岡山の銘建工業のペレットを購入している。 ペレットを燃やした結果約0.5%が灰となり、基本的に毎日バーナー内を掃除するようだ。灰はすべて温室内の肥料として使っている。

 他にメリットとしては、重油とは違ってSOx(硫黄酸化物)がほとんど発生しないため、排気ガスの温度を下げられ熱効率が高まったり、燃焼により発生した二酸化炭素を温室内に放出し、植物の生育を早めることができる。見学した温室では年間1万5000リットルの重油を使っていたので、CO2を約40t排出していた計算となり、適切な森林管理をした場合、年間40tのCO2排出削減が行えているといえる。

 ペレットヒーティングシステムを導入するのに必要なコストは、バーナー約120万円、サイロ約35万円、ばねコンベアー約25万円、すべてあわせて約200万円ほどである。熱交換器も変える場合は加えて80万円〜100万円ほど必要となる。重油を1リットル90円、重油1リットル相当のペレットを70円(約30円/kg)とすると、1年間で1万5000リットルの重油を使っていたので、年間30万円の削減となり、約6.7年で導入費を回収することができる。環境省から1/3の補助を受けて設置したため、約4.4年で回収できる。ただし実際には重油の価格変動の影響を大きく受けることになる。

成果・感想・今後の展望

 高知県では施設園芸のために排出するCO2が30万tであり、これは高知県全体でのCO2排出量である600万tの5%に当たる。高知県は森林率84%と日本一を誇る県でもある。この地域の材からできたペレットを利用し、地域循環型を目指してもいるようだ。しかし現状では近郊で作っているペレットは径が7mmで、標準的な6mmのペレットのほうが良いなど、品質やコストの面で県外のペレットを使っているとのことである。地域循環型になり、山にも還元される仕組み作りがされることを望む。

担当:
石川求
参加者:
齋藤わか、寺尾尚純、中森宙一、野瀬光弘、前田純 (敬称略)