2008年11月9日(日)
↑ウエルカム 土佐龍
↑製品になるために
時を待つ四万十桧
↑整頓された製造工房
↑木のすべてを製品にする
↑木くずはペレット工場へ
↑ヒノキの香りがくすぐる店内
↑代表の池さんです
主に四万十ひのき材を使った、木製家庭用品及びインテリアアクセサリーの製造卸販売を行っている。創業は1970年で、会社創立は1979年。池龍昇さんが代表者で、朝早くからお邪魔してお話を伺い、製造工程なども見学させていただいた。2時間くらいは滞在していたが、ひっきりなしに池さんを訪ねてくる方があり対価もほとんどない我々は恐縮するばかりであった。
デザインはすべて自社製で、専属のデザイナーがいる。商品化したアイテムは数百あり、デザイナー以外にもスタッフのデザイン・アイデアで商品化した製品も多い。コピーすることは簡単だが自らを枯らすことになるとの信念で製品を世に送りだしている。モノづくりの当たり前の気位をすんなりと続けておられる。そんなことも相まって、お店の中にはヒノキの心地よい香りと、創るよろこびを皆が共有している、暖かな雰囲気が満ちていた。
製品となるヒノキ材は、主に県森連の共販所で購入しているとのこと。近年、クスノキ材の商品を新たに展開中で、高知県内で伐採されたクスノキの多くが土佐龍で製品化されているらしい。
今まで、木製家具などに多く使用されてきた、オークやチークなど材としての魅力がある素材は多いが、自前のものではない。私は、地のひのきを使うこと、自前のものを使うこと、そこに意義があると考えた。土佐龍が海外へ進出していくためにも、彼の地にある材ではなく、我が国の代表的な材である「ひのき」を使うことで商品としての価値を高めることができた。
四万十ひのきを生かすことは、この場所で生きている誇りであり、使命であると考えて活動を始め、今に至っている。
土佐には、木を使う文化や山の恵みに感謝してきた長い歴史がある。多くの山で植えられて育ってきた人工林は、切り捨てでなく利用伐を進めていくべきである。それは、切り捨て間伐では、そのうちに川を下り流木となって海に流れだし、網に引っかかり漁場を荒らすことになる。山と海がつながっている実感を忘れてはならない。
商品化には、まるごと木を使い切ることが基本コンセプトであり、木くずは須崎燃料でペレットやオガ炭になっている。ただし、将来的には熱利用ではなく、堆肥化をして土に還すことを進めたい。
この国の文化は、水の清らかさが生みだしたものである。我々はそれを伝えていかなければならない。子どもたちと、山に入ることで山をいかすすべを伝え、学ぶ場が必要である。
荒れ地に育つ木は強い。
土佐は、海と山が混じり、混沌と安堵が共にあり、大気は自然の大らかさにあふれている。
自然との間合いを計ってきた別の場所とは違い、人はどこまで自分を解放できるのか、自然はどこまで受け入れてくれるのか、そんなこと迷うことなく進んでいける気になってくる。