2008年11月27日 9:00〜11:00
内子町バイオマスタウン構想の視察
↑ユリの栽培ハウス
↑ハウス暖房用のペレットボイラー
↑ギレス社製ペレットボイラー
↑中学校で利用されているペレット
↑内子中学校
↑ペレットボイラー
古くからの町並みで有名な内子町では、環境政策の一つとしてバイオマス利活用を位置づけており、未利用バイオマスの利用の仕組みづくりに取り組んでいる。このために、3つのプロジェクトからなる「内子町バイオマスタウン構想」が策定された。その3つは森のプロジェクト・畑のプロジェクト・まちのプロジェクトとされ、それぞれの特色を活かしつつ連携をとることで、総合的なバイオマス利活用を進めていくことを目指している。今回は内子町総務課行政財政班調整係の久保雅美さんに対応いただき、このバイオマスタウン構想の取り組みの一部を見学させていただいた。
森のプロジェクトでは、ペレット(燃料用・飼料用)の製造と、ペレットを利用するための設備導入を行っている。ペレットの製造は民間の企業が担っており、建築廃材のペレットも作られている。ホワイトペレットよりもコストは低いとのことだったが、ペレットボイラーに合わない場合があるそうだ。その他の原料は町内外の間伐材を利用しているとのことだった。製造されたペレットは、ペレットストーブとペレットボイラーで利用されている。ストーブは内子町内の小中学校、幼稚園、役場関連の施設に導入されている。ペレットボイラーは老人ホームと内子中学校に導入されている。また個人でペレットストーブを利用する家庭や、シイタケ・ユリのハウス栽培にペレットボイラーを利用する農家もある。今回はユリ栽培のハウスを見学させていただいた。調整がうまく行かず、すすが出てしまうことがあるそうだ。温度設定は17℃で、今は大体うまく行っているとのお話だった。ここのペレットボイラーの難点は、\し大型で値段が高額なところである。
また、竹を利用した飼料用ペレット(BTペレット)の製造も行われている。竹にトウフ粕を混ぜることで栄養分を補っているとのことだった。牛の採食性も良好であるそうだ。
畑のプロジェクトでは、家庭の生ごみと畜ふんを原料とした堆肥(エコパワー)を生産している。対比の一部を炭化させて混ぜ合わせることによって、土壌改良効果が向上するとのことだった。えひめAI-1という環境浄化微生物を加えることで、堆肥の難点である臭いを抑えることにも成功している。この堆肥は販売もされている。
まちのプロジェクトでは、廃食油の回収と菜の花栽培、BDF(バイオディーゼル燃料)製造に取り組んでいる。廃食油の回収には環境NPOが携わっており、廃油から石鹸も製造しており、現段階では委託している廃食油のBDF製造を、内子町で行う準備も進めているとのことである。
このように、3つのプロジェクトはそれぞれが独立しているのではなく、森・畑・町が相互に連携をとり合うものだった。愛媛県はまだバイオマス利活用のための条件が整っていない面があるという実情もお教えいただいた。
多くの種類のバイオマスを総合的に利用していく取り組みであるが、森・畑・まちの各プロジェクトは動き出して間もないため、全体的なバイオマス循環が実現する段階には至っていないようだった。しかし森・畑・町間の部分的な連携は実現されており、バイオマスを総合的に利用していくために学ぶ点はたくさんあったと思う。