京都ペレット町家ヒノコ

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生産者の紹介 vol.02
『今北林業』

京都の山から届いたお茶、みなさんもう味わっていただけましたか?ヒノコではクロモジ茶、ドクダミ茶、番茶を季節によって入荷しております。その生産者である今北林業を訪ねました。




今北林業は京北町と、磨き丸太の中心地中川地域に隣接する小野郷にあり、約500年前から先祖代々18代にわたり林業を営んできました。川がないため小割材や木挽きした材を毎日背負ったり牛に背負わせたりして西の鯖街道を行き、諸産物の集荷地だった鷹ヶ峰まで運びました。その距離約18㎞。今北林業株式会社の今北 幸作さんは、平成6年よりこれまでの林業部門「木材部」以外に「食品部」を設けました。その理由は残念なことに、昨今の林業の衰退によるものでした。

■膨大な見込生産の限界
500年前は自生林で成り立っていた林業は需要増加で植林し増産するようになりました。(生産の主であった)磨き丸太は元々季節的な商品。9月半ばに伐り11月頃から皮をむき磨いていくといったように時期が決まっており、生産できる数量にも限りがありました。しかし水圧機によって皮をむき、乾燥機で干すことができるようになったことで時期を問わず生産できるようになり、売り先のことを考えずにどんどん生産していった林業家は生産過剰に。バブル崩壊の際に一気に倒産していきました。300軒ほどあった林業家は数十軒にまで減少しました。また、昭和30~40年代の高度経済成長期、これから紙資源は絶対に需要があると踏みパルプ材としての松の植栽をするところもありましたが、ほどなく海外より安いロール紙が輸入され、製紙業は発展せず。山は松枯れで覆われました。
「商売で造林し、山の手入れを続けるのは不可能なこと」60年林業に携わってきた今北さんは言います。年月が長すぎて見通しをつけるのが難しいのが林業。植林していないといざ必要となった時、植えておけばよかったでは遅い。しかし、植林してからそれが材になり還元されるまで数十年かかります。植林の際には、下に杉(床柱に使う材など。各家に1本程度なので需要小)、中ほどに檜(住宅の柱材、需要大)、上のほうは、どこにでも育つ松、さらに上が雑木、といったように考えて行っても、膨大な見込み生産であることには変わりありません。林業を商売として成り立たせることができない要因のひとつとなっているのです。
歴史ある今北林業でも平成6年には磨き丸太の生産からは手を引き、現在林業分門は一時的に休業中。「切らないので植えなくてもよい」という状況です。切ると植えなければならない。植えると結局は赤字が増えるだけ。切らないで置いておく方がよいということになるのです。このように林業衰退が進む中京都府は100年の銘木をめざす取組をはじめていますが、本当に材として売れる保証がない限りは、膨大な見込産業の問題は解決されません。「林業家はこれまで、農業などとは違い守られてこなかった」という今北さん。林業を続けたくても続けられないという事態の重みが伝わってきます。林業への助成金は以前は植林だけを対象にしたものばかりでした。最近では下草刈り、間伐といった手入れにも補助金がでるようにはなったものの、肝心な育った後の伐採と搬出に充てられるものはなく、販路につなげていけないことが最大の問題。助成金のあり方も問われます。




■東急ハンズとともに30年~食品部の立ち上げ
今北林業は、北山杉の輪切り、枝、小柴などの木材も販売され、「働く木」「楽しむ木」「考える木」「あたたかな木」といろいろな「木」の活用をPRされています。30年ほど前から東急ハンズで、木材をディスプレイや木工クラフト素材として販売し売れ行きは上々でした。しかし、最近は以前ほど熱心に販売するスタッフがいないためかその受注も減りつつあります。このような状況下で、平成6年より食材部門を立ち上げました。食べ物のほうが売れ行きもよく、林業よりも見込みがあるという今の世相が背景にみえるのはいうまでもありません。

■食品部も全て手作りが基本
取材中、納豆餅と大福茶をいただきました。大福茶は、梅干しはもちろん、お茶の葉まで全て自家製。納豆餅は、納豆から手造りです。食品衛生上難しい藁を使った製造を、特区にしてもらうことで実現した昔ながらの藁を使った製造方法で市販の菌や添加物等は一切使用されていません。秋に藁がとれてからの製造となります。昔と少し違うのは、籾がらの中で作っていたのを、京都市保健所の許可施設でつくらなければならない点。手造りのため大量に作ることはできず製造するのも寒い季節のみです。西鯖街道界隈の山里では、お正月三ヶ日には餅を焼き、納豆と黒砂糖を入れて半月状にした「納豆餅」(巻き餅とも言う)が雑煮に代わるお祝い食だったそうです。
新しく立ち上げた「食品部」では、納豆餅をはじめ、昔からある味を再現する地場の伝承商品を作りたいという想いが込められています。道の駅などを販売拠点に、ご飯ものや餅類、つけもの、和菓子、お茶、佃煮と・・・数十種類はあるでしょうか。ご飯ものは、鯖寿司(西の鯖街道に伝わる、主にお祭り要につくられた田舎の大きな名物鯖寿司)、山菜おこわ(山菜たっぷり、時間をかけて蒸し上げた)に鯖飯。鯖飯は、鯖寿司の塩サバを3枚おろしにした後の骨身と山椒の実をいれた炊き込みご飯。ここでも、無駄なく素材を使いきるという心が表れています。また山野に自生するわらびを北山杉の木灰であく抜きをして流水で何度も洗うという、伝統の製法により仕上げた灰汁ぬきわらび、漬物(べったら漬、ちゃら漬、柚子大根など9種)、粽、饅頭、山椒クッキーなどなども。田舎で食べてきたものを舞台にのせることで皆さんにお届けしたい、と今北さんと奥様で心をこめて作られている食品部。これからも昔からある美味しさと温かさを皆さんに届けてくれることでしょう。

今北林業(株)食品部
〒601-0144 京都府京都市北区大森西町43
TEL:075-406-2201

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