薪
木の幹や枝を切って割るだけで、簡単に作ることのできる燃料。
乾燥させて、野外での調理や薪ストーブなどで使われます。
ヒトがまだサルみたいだった大昔からずっと使われていました。
まぁ、木のエネルギーの中では、わしほど古いものもあるまい。
薪は「まき《と読みますが、それ以外に「たきぎ《とも読みます。
あの桃太郎に書かれた『おじいさんは山へしばかりに・・・』の『しばかり』というのは、実は薪拾いのことだったのです。
昔は、薪を燃やしてご飯を作ったり、お風呂を沸かしたり、囲炉裏で暖まるなど生活するには無くてはならないものでした。
なので、時には取り合いになるほどでした。
今でも途上国では取り合いになっているところもあります。
炭が安い値段で売られ、庶民も手が届くようになるまでは、薪は生活の全ての場面で使われていました。
残念ながら日本では、『薪なんてもう時代遅れの古いもの』と思っているかもしれませんが、ヨーロッパやアメリカなどでは今でも薪を使ったストーブが生活の一部としてとても大切にされています。
また、洗練されたデザインと優れた機能性を兼ね備えたストーブの開発も進んでいるのです。
他の燃料に比べて扱うのは難しいですが、その炎の美しさは何ものにも代えがたいものです。
炭
炭窯で薪を高温で蒸し焼きにして、生まれる燃料。
黒炭は、1万年前から人間が作っていたとされいて、平安時代に書かれた「枕草子《にも出てくるほど長い歴史をもっています。
火がつきやすくて、燃え尽きやすい性質なので、バーベキューには大活躍です。
白炭は、黒炭よりも高温で焼いて灰をかぶせて冷ますため、白炭と呼ばれています。
白炭を作るのには、技術が必要となります。
西暦800年ごろに、弘法大師が中国から仏教と共に技術を持ち帰り、和歌山の高野山を中心としてつくられるようになりました。
品質のよい物は、お互いぶつけると『キーンキーン』と金属みたいにいい音がします。
俗に言う、『備長炭』です。
備中屋門左衛門さんという炭屋さんが売り出したため、そう呼ばれているのだそうです。
火力が安定しているので、ウナギ屋や焼き鳥屋などの炭火焼料理店には欠かすことのできない燃料です。
値段も黒炭より高くなります。
炭は、炎が出ないため薪より安全で、運びやすく、煙も少ないという利点があります。
それで、昔から火鉢などの暖房器具に使われ続けているのです。
また、遠赤外線が出るので、炭火料理に使うと、中身はふっくら、外はパリッと美味しく焼けます。
材料となる木は。クヌギ、カシ、アベマキ等のどんくりのなる木でつくると、最高の燃料となります。
一方で、竹でつくる竹炭や、果物・マツボックリなんかでつくる花炭と呼ばれるものは、インテリアとしては人気があります。
炭には水質浄化、消臭、湿度調整、土壌改良などといった様々な力もあります。
木質ペレット
木をゴミとして捨てずに有効利用
『木質ペレット』とは聞きなれない言葉かもしれませんが、欧米ではかなり使われている木質の燃料です。
日本でも昔から使われていましたが、石油の価格が安くなったら一気に使われなくなってしまいました。
しかし、温暖化や森が荒れるという問題が浮き彫りになり、木をゴミとして捨てずに有効利用しようということから、国や自治体が後押しして、再び工場が増えつつあります。
製材のときに出てくるオガ粉や木の使われない部分を粉にして、高圧で固めたのが木質ペレットです。
「リグニン《という木の成分が溶けて固まる、100%木でできている固形の燃料です。
大きさは直径数7mmから1cm程度です。
木質ペレットには3種類あります。
木の皮を原料にした「バークペレット《は、色は濃い茶色。
今まで処理に困っていた木の皮の有効利用につながります。
木の中の部分だけを原料にした「ホワイトペレット《は、白っぽい色で、バークペレットより灰の量が少ないのが特徴です。
木のすべてを原料したのが「全木ペレット《は、茶色で、他の二つの中間となります。
木質ペレットの利点は、ペレットストーブやペレットボイラーのタンクに入れておけば、燃料を継ぎ足す手間が無く、運ぶのが楽な点です。
また、薪に比べて形や水分も均質なので電気で制御ができ火力の調整もしやすく、熱量が高いため効率的です。
薪のように煙も出ず、煙突のいらないストーブもあるので誰でも使いやすいのがポイント。
ただ、製造には大規模な工場が必要となります。
チップ
木を小さく砕いたもの
家などの柱や間伐材からも作ることができ、、ペレットのように固める必要もないため、とても製造しやすいのが特長です。
その大半は、紙になっています。
ストーブでは燃やすことができないため、ボイラーの燃料として使われているためあまり馴染みが無いかもしれません。
最近じゃ老人ホームや幼稚園の床暖房や給湯にも使用されることも多く、ガスを発生させたり蒸気をつくり出すことで発電も可能です。
ペレット同様タンクに入れておけば、燃料を継ぎ足す手間もなく、多少色々な種類の木が混ざっても大丈夫です。
ブリケット
木の粉を固めて、薪のような形にしたもの
木質ペレットと同じように、木の粉を固めた、100%木でできているピュアな燃料です。
よく乾燥して圧縮されているため、熱量が高く安定して長時間燃え続けることができます。
オガ粉から作った「オガライト《という種類もあり、オガライトを炭にした「オガ炭《は、焼肉屋さんでよく使われています。チクワみたいな形をしているので、一度探してみてください。
ペレットストーブ
燃料は木の粉を固めた木質ペレット
特徴は、なんといってもタンクがあることです。
このタンクに燃料であるペレットを入れておけば、自動的に供給されるため薪のように継ぎ足す手間が必要ありません。
電気を使えばスイッチ一つで簡単に点火できる機種もあり、煙突を付けずに細い配管だけで設置できるものもあります。
マンションでもどんな家にも手軽に置けるストーブです。
そして一番の特長が、炎が美しいことです。
誰でも手軽に炎が楽しめます。
ペレットストーブは、日本でもオイルショックのころはよく使われていましたが、燃料が石油に取って代わってしまってからは、あまり見られなくなってしまいました。
しかし、欧米では一般の家庭に普及しています。
日本でも、石油や石炭の利用を見直す動きから近年普及してきており、今ではおしゃれな海外製のものから国産のものまで、種類が増えています。
学校や幼稚園で使われることも多くなりました。
薪ストーブ
薪を専門に燃やすストーブ
なんと言っても「暖かさ《が魅力のストーブです。
その秘密は輻射熱。温風ではなく、ストーブの周りの空気を暖めて遠赤外線が放射されるため、心地よい暖かさが体に伝わります。まるでお日さまの様にポカポカします。
昔ながらの形のものもあれば、欧米から輸入される機能的なものや、インテリアの一部のような美しいデザインのものもあります。
煙が少ないなどタイプも値段も色々です。
設置には煙突が必要で、薪が燃え尽きたら継ぎ足す手間もかかります。
また、火をつけるのも慣れるまでは難しいかもしれませんが、使いこなす過程も楽しみの一つと言えます。
年に一度は、煙突のメンテナンスも必要です。
簡単でお手軽・・・という訳にはいきませんが、美しい炎のあるゆったりとした空間に癒やされることができます。
七輪
炭を燃料とする調理器具
相当古いものと思われがちですが、江戸時代中頃に誕生したものです。
江戸や大阪、京都等の町ができたときに、長屋のような狭い家でも料理が出来ると重宝されました。
下にある空気窓からうちわであおげば炭の火が強くなる・・・という構造です。
手に入りやすいには、ホームセンターなどで販売されている練り物やレンガでつくった格安のものです。
耐久性や保温性を考えるなら、軽くて保温性が高い珪藻土を切り出してつくる能登半島の七輪や、瓦の産地である愛知県碧南市のものもあります。
どこでも持ち運べるから、食卓やベランダ、庭で使って楽しめます。
肉や脂の多い魚を焼くと煙が出るので、屋内での使用には充分にご注意ください。
七輪を使うと、雰囲気がある上に炭火にしか出せない味があります。