中村軒
丹波から京都の西を流れる桂川。
この桂川にかかる桂大橋のたもとに一軒の老舗和菓子屋「中村軒」があります。
創業は明治16年、山陰街道の道中にあったため、丹波・丹後方面からの往来客で賑わっていたそうです。
看板商品である“麦代餅(むぎてもち)”は、かつて、農家の間食として田畑へ直接届けていたもので、
農作業が終わる頃に
その代金を麦で払ってもらった事よりこの吊がついたとのことです。
当時と同じ材料で作っているとあって、とても懐かしい味がします。
現在の建物は明治37年に建てられたもので、瓦屋根の重厚な構えと木の看板が歴史を感じさせます。
和菓子は店内の茶店で味わうことができ、茶店は昔ながらの床の間がついた和室で、奥の坪庭の手水には金魚が泳いでいます。
この落ち着いた雰囲気の中で、街道を行き来した人々に思いをはせながら、季節の和菓子をいただく。夏はキーンと冷たいかき氷、冬は炭火であぶったみたらし団子を求めて、中村軒を訪れるお客さんは年中絶えることがありません。
中村軒のモットーは「お客さんの笑顔のために」。
本物をおいしくいただくためのこだわりは様々なところにあります。
その一つが、小豆を薪で炊くことです。
北海道産と京丹波産の小豆を昔ながらのかまど(京言葉では“おくどさん”)にクヌギの薪をくべて、じっくりと炊くのです。
薪は炎が消えても余熱でくすぶっている(“おき”という)ため、火を止めてもすぐに温度が下がらず、レンガや土の余熱でなんとも言えない味わいになるのだとか。
ガス釜ではこの味は出せないそうです。
このおくどさんで炊いたあんこは、粒がしっかりと形を残し、中はふっくら。
中村軒で使われているあんこの全ては、このおくどさんで炊かれたものです。
その良さを味わうのにオススメなのが、「ぜんざい」です。
一粒一粒の小豆を、目で見て、お箸で触って、舌で味わう……。
昔ながらの製法の中で、最も味に影響するのが「薪」。
目の前には桂離宮(事前予約)、すぐ近くに松尾大社や嵐山があり、京都観光の際にはこの歴史ある茶店へお立ち寄りの上、薪で炊いた小豆のおいしさを味わってください。
本店に来れない方は、京都や大阪などのデパートやインターネットでも販売しているので、そちらでもどうぞ。
株式会社 中村軒
住所:京都市西京区桂浅原町61
交通アクセス:阪急「桂」駅より徒歩15分、桂離宮南側
TEL:075-381-2650
定休日:水曜日(祝日は除く)
営業時間:7:30~18:00 茶店
9:30~18:00(ラストオーダー17:45)
URL:http://www.nakamuraken.co.jp