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雲ヶ畑 松上げ

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京都市北区雲ヶ畑では、毎年8月24日に「松上げ」という行事が行われます。
松明で山に字を描く、五山の送り火に似た行事です。
五山の送り火よりも字の大きさは小さいですが、毎年異なる字が描かれるという、大変面白く幻想的な行事です。


若中と呼ばれる雲ヶ畑出身の16歳~35歳までの男性(昔は長男のみ)がこの松上げに参加できるのですが、最近では、雲ヶ畑に住む若者は少なくなっており、松上げを実施することが様々な面で困難になっています。
今年も雲ヶ畑の6人とボランティアのメンバー2人の計8人で行いました(今まではボランティアもいませんでした)。


kikou (2).jpg松上げは、まず松明を作る松の木を探すところから始まります。
松枯れの蔓延などから良い松の木を探すのは難しくなっているそうです。
松を準備すると、斧で松明の大きさに割っていきます。
割ってからよく燃えるよう乾燥させる必要があるので、事前に割っておくのです。
毎年8月15日と決まっています。
松明にする松の木は大木(直径40cmぐらい)なので、手作業で割るのは本当に大変です。
そして、ただ割るだけではなく、よく燃える中心部だけを選んで薪にします。


当日は、若中は朝7時半に集合し、薪を松明にしていきます。
まず、薪を手斧でさらに細かくし(約3cm角)、先端に少し割れ目を入れ、火がつきやすいようにします。
それを直径20cm弱ほどの針金の輪に入れていき、松明がばらばらにならないようにしっかりと留めていきます。


次に、点火場所まで1人10束ほど松明を背負って山道を登ります。
これは本当に大変な重労働で、元気な若者でも、足ががくがくと震えます。
そして、4m角ぐらいの枠の中に字を組んでいきます。
ただ単にその字に見えればいいわけではなく、いかに美しく見せるかが重要で、頭(リーダー)を中心に若中が字のバランスを考えながら一生懸命に組みます。
そうこうしているうちに、夕方5時ごろになり、一度家に戻り6時ごろに再び点火場所に戻ってきます。


kikou (1).jpgそして、点火に向け動き出します。
松明のすぐそばで火をおこし、松明をさらに乾燥させ水分を完全に飛ばしてやります。
水分が完全に飛ぶと松明の先が黒ずんできて、松からガスが出てきます。
そうなれば準備完了。
あとは、時間まで火がついてしまわないように水をつけたヒノキの葉で火を抑えます。


いよいよ8時になると、観覧会場のお寺でカーンカーンと鐘が鳴ります。
その合図とともに、松明に火をつけ、それぞれの持ち場に散った若中へ松明が投げられます。
若中は、その松明を字の上に刺していきます。
全部刺し終わると、「ウォー」という大きな掛け声とともに斜面に寝かしていた字を垂直に立てます。


kikou (3).jpgさらに、若中は燃えさかる松明を持って、急な山道を「オー」という声を上げながら、お寺に向かって走ります。
もちろん、山道に明かりはなく松明の火だけが頼りです。
若中のメンバーはこの頃には本当に疲れているのですが、テンションは最高潮になり、疲れを忘れて走ります。


お寺では雲ヶ畑の人々がたくさん待っており、若中の労をねぎらいます。
そして、お神酒と神様の火で焼いたするめが見に来た方々に振る舞われます。
今年の字は「久」。
どんな意味が込められているかは、見たそれぞれの人が考えるものというのが、また味があります。
時代が変わり松上げに関わる人は変わっても、毎年、良い火が上がり続けることでしょう。
また、それを願ってやみません。


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〜京都・森林バイオマス紀行〜

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中村軒
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截金職人 齋藤一陽さん
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大徳寺
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雲ヶ畑 松上げ
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