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岩手★バイオマス銀河ツアー 6日目 日記

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2004年9月8日(水)

本日の日記担当:杉下

 台風一過の晴れ間が覗く花巻市。どおどおと風が吹く中で刈り取り前の稲がきらきら光って揺れています。ここは宮沢賢治の生まれ育った街です。

 今日は終日自由行動で、各々が好きなように観光や昼寝を楽しんでいたようでした。

 私は、賢治の写真や直筆原稿などが展示され、彼の生涯や思想に触れることのできる、宮沢賢治記念館と、作品中に出てくる鉱物や生物が実物や写真で紹介され、彼の目に世界がどう映っていたかを垣間見ることができる、宮沢賢治童話村に行きました。

 賢治はその鋭い感性故か、人間社会の矛盾、ひいては弱肉強食という自然の摂理にさえ、反感を禁じ得なませんでした。彼は、人間の争いを「ツマラナイカラヤメロ」と言い、憎しみや虚偽の無い「博愛」の世界を理想としました(これは人間のみならず、全ての生物を対象にしている点でキリスト教的意味よりも広いのですが)。

 彼の思想は資本主義やグローバリゼーションの弊害が顕在化している現代にも通じるものがあると思います。そして、賢治が理想郷として描いたイーハトーブのモデルとなった岩手県から、2001年に『がんばらない宣言』が出されたのは決して偶然ではないと思います。空虚な螺旋階段を「我、先に」とひたすら上り続ける“かけっこ”にいち早く見切りをつけて、「そんなにがんばらなくても」と呼びかけるこの宣言は、賢治の思想とどこか通じるところがあります。さらにこの宣言は、地に足をつけた生き方をしよう、足元をじっくり見ればもっと良いものがある、という趣旨も含んでいますが、自ら鍬を取って農耕に励み、近隣の農民とともに啓蒙活動や農業技術の向上に粉骨砕身した賢治の生き方と重なるところもあるのではないでしょうか。

 足下をしっかり見据え、そこから始めていくこと。それはコミュニティ作りにつながります。(金銭的に)豊かでないような農村でも、力強く生きている人がたくさんいます。この“人”の力を集めれば、明るい未来がやってくるのだと思います。では、それを結びつけるものは何なのでしょうか?

 冒頭にも述べたように、賢治は弱肉強食すら時には否定しました。それはすなわち、生態ピラミッドの頂点に立つ人間の存在自体を罪たらしめる思想でした。しかし賢治は人間として、苦しみながらも力強く生きました。その原動力となったのは人間への愛ではないでしょうか。賢治は作品中で悪者をきっぱりと断罪せず、読者に憐れみのような感情を抱かせるように描きました。それは、人間の罪・弱さを認めつつも、それを許す視点ではないでしょうか。結局、周りの土地を愛し、そして人を愛することが、活発なコミュニティ作りにつながるのではないでしょうか。

下の畑に居りますの写真

 賢治が晩年を過ごした羅須地人協会の遺構。「下の畑におりますから、どうぞご自由にお上がり下さい」という意味らしいです。


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