導入事例レポート
パン生地の発酵具合を見ながらペレットボイラーに火を入れる。釜の温度が設定温度に達するのと、パンの発酵の具合がちょうどよくなったところでパンを焼き始める。日々、そのタイミングが難しいとのこと。焼き始めたら、2時間ほどは次々と焼いていく。様々なパンが店頭に並んでいる。お馴染みは、ごはんぱん、食パン、あんパン。そして、季節にあわせてのいろいろはお楽しみ。
手作り市出店の際には30種600個ものパンを焼くこともあるという。日々、パン酵母と火の加減をみながら、つぶつぶさんならではの、ふわっもちっとしたパンが焼き上がるごはんぱんの工房を訪ねた。
■ごはんぱん工房 つぶつぶ
店主の永田美恵子さんのご実家は、創業100年以上になるお米屋さん。京都のお米屋さんのおいしいお米を炊いたご飯、国産小麦粉、米油、豆乳、塩麹などでつくられる「ごはんぱん」。生地づくりには、以前は毎年年末に活躍していた餅つき機が活躍。オープン当初よりペレット石窯を使ってのパン作りをされています。工房のお向かいにある奥井理想米店に「ごはんぱん」が並びます。
■ごはんぱん工房 つぶつぶ
<販売店 奥井理想米店 TEL075-771-0456>
■住所:京都市左京区聖護院東町5
■TEL:090 2286 8108
■E-mail: tubutubu.pan@gmail.com
ペレットの窯を使おうと思われたきっかけを教えてください。
石窯研究家の竹下晃朗さん(京都市左京区在住)の記事を新聞で目にしたのが始まりだったと思います。そしてカフェミレットさん(京都市左京区)で竹下さんのワークショップが開催された時に参加して、そこで薄力粉を使って餅つき機でパンができるということも話題に。実家にあった餅つき機が使えそうということで、パン作りができるかも?と思いました。
最初はハードパンを考えていたんですが、ご飯入りのパンを食べた時に美味しくて。それから「ごはんパン」づくりの試作を繰り返しました。
窯の燃料については、工房の場所にはガスがきてなくて、でも震災のことを考えると電気はやめておきたい。薪は扱うのが大変・・・と思って最終的にたどり着いたのが「ペレット」でした。
写真②
写真③
写真②:窯は、竹下さん指導のもと、工房を作ってもらった大工さんにも手伝ってもらいながら、永田さん自ら耐火煉瓦を積む作業からスタートされたそう。上下はずっしり重たい煉瓦。間の側面に積まれているのは、七輪の素材と同じ珪藻土でできている。
写真③:ボイラー部分は北海道のメーカーさんのもの。
そして、永田さんは弊社代表の松田にも出会ったのでした。構想から4年程経ち、「ごはんぱん工房 つぶつぶ」がオープンしました。
実際にペレットを使っていて焼き具合とか、窯やペレットの扱いについてはどうですか?
設定温度が難しくて、何度も試しました。結果、思っていたよりも高温がよいというところに落ち着きました。温度が高い分、短い時間で焼けていると思いますが、焼き時間というのは、窯の中の位置によっても異なるので、様子をみながらになります。
ペレットは、細かい粉をふるう余裕がないと、時々つまることはあります。そういう時は温度がなかなか上がらなかったり、その予兆があるので、気付いた時点でつまりを取り除く作業が必要です。煙は、そのように詰まった時や、点火する際はほんの数分ですが工房内が煙たくはなりますね。
こういう、少し他の窯とは違う使い勝手はありますが、ガスほどの危険性はないものなので安心なのと、十分対応できる範囲なので大丈夫です。
写真④
写真⑤
写真④:最初にペレット少しと割りばしで種火をつくってから点火。
写真⑤:焼き具合にムラができないよう、途中でトレイをひっくりかえすなどの工夫もされている。
取材させていただいたのは2月後半のまだ寒い時期。
工房の中には電気ストーブが一台。空調設備がないので、窯に火入れするまでは寒いそうですが、冬場は焼いている時は暖かく快適。もちろん逆に夏は40℃超えでかなりの暑さにはなるそうです。それでも日々パンを焼き続ける永田さん。
ペレットの石窯で焼いているということについて、お客様の反応はいかがですか?と尋ねると、皆さんが一番気になるのは「ごはん」が入っているという点だそう。
その美味しい「ごはんぱん」の向こう側に、永田さんとペレット石窯の日々の積み重ねあり。手作り市などでみかけたら、ぜひ味わってみてください。
写真⑥
写真⑥:つぶつぶさんの「ごはんぱん」。写真は、かぼちゃ味のごはんぱんと、餡パン。
奥井理想米店の他、梅小路公園手づくり市、百万遍さんの手づくり市、上賀茂神社手作り市、平安楽市(岡崎公園手づくり市)などの手づくり市にも出店されています。